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エピソード二題

32回生(昭和55年卒) 堀内 浩司

 

ダルマ怒りの合宿、顔面キック直撃談!?-

 「アイタッ」。ダルマ独特の甲高い声が響き渡った瞬間、グランドはシーンと静まりかえった。栂池合宿朝練習でのことだった。ふたり一組となってのキック練習、見回って指導していたダルマの顔にボールが見事にヒットしたのだ。犯人は右フランカー畦地裕、超低血圧の彼はまだ眼がさめきっておらず、ボケボケの状態で練習に参加していたのだった。それにしても、よりによって一番当ててはいけない人の、それも顔面に・・・。

 その後の彼の行動は特筆に値する。ダルマとの距離約30メートルほどを0.2秒ほどで走りきり、グランドに頭をすりつけるように「すいません、すいません、すいません、すいません・・・」。500回ぐらいは言ったろうか。

 「ええんや、気にするな」。おもむろに白い歯を見せたダルマ。しかし、その瞳は少しも笑っていなかった。その後の練習メニューが、フランカーを鍛え上げる内容となったのはきっと偶然だろう。

 当時、合宿といえば天下の名門「灘高校」と合同で実施されていた。練習の合間の休み時間、我々が練習のつらさと身の不運を嘆きながらゴロゴロと寝そべって「週刊プレイボーイ」などのヌード写真で心をいやしている頃、彼らは数学や化学、物理の参考書を読みふけっていた。その後、東大とか行って、日本を支えてくれていることだろう。

これからのますますのご発展を祈りたい。

 

そこまでやるか、砂場の砂事件。-

 ダルマが県協会の集いで練習に来ないうららかな土曜日のことだった。当時は授業終了とともにあらゆる策を弄し、練習をさぼって帰ろうという部員たちを捕まえ、練習に参加させることがキャプテンの日課だった。

 この日も苦労の末全員を捕まえ、指示された練習メニューを終えようかという時だった。向こうからややこしい一団がこちらに向かってきている。よく見ると楕円のボールを手にしているようだ。彼らは朝鮮高校ラグビー部の面々、練習試合にやって来たというではないか。予定は来週のはず。しかし、ダルマがいないので確認できない。

 まあ、せっかく来てもらったのだから、一緒に練習ぐらいならと思って周りを見渡すと、様子をうかがっていたはずの部員たちの姿が見えない。約束が違うと攻められるわ、助けてくれる部員はいないわ。必死に説得して帰ってもらい、ホッとしているとなにやら鉄棒の下の砂場が動いているではないか。おかしいと思い、近づいてみると、部員たちが砂場にはいつくばっている。

 「何してるんや?」「いや、おれらは全員で砂場の砂になる遊びをしてたんや」。練習嫌さにそこまでやるかと思いつつ、この機転、結束力がどうしてゲームに活かされないのか。つくづく自分の非力さが情けなくなった一日だった。

 ちなみに、卒業アルバムの写真撮影時も部員が集合時間に集まってこず、探し回ってやっと揃えたときには、キャプテンが座るべき中央にあぐらをかいている奴がいた。そのまま撮影は終了、オレは後列にそっと並んだ。

 「コラッ岩本!、そこはオレが座る場所じゃ!!」

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32回生 (S.55卒) 部員

 

 畦 地   裕

 井 上  幹 雄

 岩 本  嘉 真

 大 上  明 彦

 岡 田  道 明

 加 地  好 男

 鹿 間  健 児

 筒 井  弘 明

 堀 内  浩 司

 山 田  康 弘

 武 田  文 代

 山 崎  典 子